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模範解答はいらない、自分の答えを導く方程式

生きている理由

 

 

思わず笑みがこぼれる瞬間が

キラキラ散らばっていたら。

それだけで生きてるのも悪くないな

って思っていいんだよね。

十分生きる理由なんだよね、きっと。

 

例えば休みの日の二度寝。

グシャグシャの頭のまま食べる

熱々のトマトスープとこんがりトースト。

目的地もなく電車に乗り

気になっていた本を読む。うたた寝。

凛とした冬の空気に包まれるホームに

立って深呼吸する。その地に住む人を

眺めながら散策して、名物を食べる。

博物館や文学館によって、

しんとした中で歴史やそこに生きた人を

思う。どんな生活をして何を楽しみにして

いただろう。なんでもないいなか道を

歩く。よろめきながら自転車をこぐ

おじいさん、黄色い帽子の女の子たちが

夢中で話ながらすれ違う。

夕暮れの車窓から、シートにこぼれる

とろりとした橙色の光。

染められた田んぼが地続きに広がっている。

 

(全部溶けてゆけ!)

瞬間的に全身を駆けるコイツの正体は

祈りなのかな、と思う。

同時にわかる。私は所謂幸せを

生きる拠り所にできないことを。

橙色の光を背に受けて

頭を寄せあうように微睡む親子は、

めったに疑わないものだ。

幸せであるか否かを疑っても

幸せに向かうベクトル自体は

疑わない。終点は幸せだと

信じるでもなく信じている。

 

 

だとすれば私の終点はない。

不安な夜は固定化してしまいたい

欲求にかられる。

うまく息をすえなくなって

かたちから突き抜けようとする

衝動を抑え込む如くに抱き締める。

おちつけおちつけおちつけおちつけ…

 

 

いつの間にか立っている荒涼とした

淋しい浜辺。鈍く光る曇天。

地平線は曖昧で、グラデーションがかった

一枚の絵に似ている。

瞬きの合間に今日から

明日だった今日へバトンが渡り、

地続きの今をにらんでいる。

 

自分の熱で焼け死ぬときが

私の寿命。

意味である意味を知りたい。

それ以外はあまり重要じゃない。

意味になるんでも、意味を見いだす

んでもない。

意味であることを受け取り、

意味である意味をいつも考え、

想い、感じる。

解明が目的じゃない。

解釈を重ねて、納得したいだけ。

生きることを認めたいだけ。

だけ、があまりに難しいから

まだ生きている。生きていられる。