道具の手で黙々耕す農夫
言葉もなく微笑みあう子と兎
茹でた腸詰めのような赤子を抱く母
暮れかかる西日の麦色に包まれて
まるで発光する美しさ
瞬間にひそむ永遠
眺める者には影しか見せぬのに
在る者にはこんなにも惜しみない
それでもこの手を止めることはできまい
その耳を塞ぐこともできまい
いま、ここ、すべてを捉えたい
野心、否、傲慢か
振り絞り、超えんとする魂は
かたちのふりした虚しさや
ことばのふりした卑しさを
両手刀で斬りつける
返り血をぬらぬらと光らせながら
あてどなくあるく
亡霊