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模範解答はいらない、自分の答えを導く方程式

小説家の目線はシビアだ。
だが決して突き放す目線ではない。
むしろすべての在るものを、
とりわけ人間の心模様を明らかに
しようと努めている。
それは、切実な求愛に見える。
すべてのものを見いだし、そのままに
愛せぬものかと言葉を引きずり出し
紡ぐ様を思うと、それでこそ人間だ
という気がしてくる。

金のため、名誉のため、地位のため
平和のため、幸福のため…
そういうものを越えた懇願がみえる。
どれだけドロドロした感情や
救いようのない状況を描いても
どこか清潔さを感じるのは、
おそらくその懇願のためだろう。

愛するため目覚めさせるため、
徹底して人間を、エゴをあぶり出す。
そうすることで自覚なく手頃なやりがいや
幸せの城を築こうとする人間の
頬をピシャリとはたく。
なのに肝心の人間はとんだ勘違いをする。

「こんな恐ろしい人間がいるのか」
「こんなでもまだ幸せでよかった」


逆だ!無自覚な張りぼてを蹴散らしたくなる。